胃がん闘病記録

胃がんが発覚する前の自覚症状は減らない体重と足の痛み

父がステージ4の胃がんと診断されるまでの経緯について、備忘録を兼ねて時間軸・ポイントとなった症状を数回に分けてまとめていきたいと思う。

初めて病院に受診したのが2017年の10月下旬で、診断がついたのは11月中旬。

この1ヵ月の間で本人の体調は劇的に変化しており、まさにがんの恐ろしさを改めて認識させられた一月だった。

本人に聞く限り、いわゆる胃がんらしいわかりやすい初期症状はなかったとのことで、一見関係なさそうな足の異常から話は始まる。

胃がんだとわかったあとから考えると、これらががんに由来する初期症状だったのかと合点がいくが、その当時は全く想像だにしなかった部分であり、似たような状況の方の後学となれば幸いだ。

本人は、胃がんが発覚するずいぶん前から胃の不調を感じていたようだが、元来、胃腸の調子が常に良くない人であり、胃の違和感などに対して鈍感になっていた。そのため、胃がんを疑う症状として認識できていなかったようだった。

まずは、胃がんだとは思っていなかった10月(診断1ヵ月前)から。

キーワードは”体重が減らなかった”夏

2017年10月上旬(診断1ヵ月半前)

息子の誕生日会を開いた時に父に会った。

以前より顔が少し痩せたようにも見えたが、本人の立ち居振る舞いに特に変わった様子もなく至って普通であり、大きな違和感は感じなかった。

この誕生日会の席上、父から毎年夏になると体重が減るのだけど、今年は減らなかった』という話題が上った。

父は渓流釣りが趣味で、夏になると毎週のように川に入る。

それなりに流れの速い川での釣りは良い体幹トレーニングになっていたのか、夏になると体重が数kg減り、シーズンが終わる秋口になるとまた元に戻るというのが例年の出来事だったのだが、今年は体重が一向に減らなかったという。

後から考えると、この話題が既に腹水がお腹に溜まっていることを示唆するキーワードであり、本当の体重は減っていたにも関わらず腹水が存在していたため見かけ上、体重が減らなかったのだと思われる。

しかし、この時点では知る由もなかった。

 

ふくらはぎの痛みが出現

10月下旬(診断1ヵ月前)

息子の誕生日会がつつがなく終わった約3週間後。

右足のふくらはぎが痛むので、父が家の近所の整形外科クリニックを受診し、経過観察で帰されたという話を母から聞いた

どう痛むのか?と聞いてみると、歩いていると痛くなってきて、しばらく休むとまた歩けるとのことで、専門的に言えば間欠性跛行のようだった。

間欠性跛行を呈する疾患としては、

  • 神経性の脊柱管狭窄症
  • 血管性の閉塞性動脈硬化症

などが代表的であり、画像検査をすれば神経性か、何ヶ所か脈を取れば血管性かあたりがつけられる。

受診したクリニックでは、足背動脈(足の甲)の脈を確認したようで画像検査もしなかったようだ。 

神経性を否定するためにも一応レントゲンくらい撮ってくれれば良かったのに、と思ったものの、なんにせよ血管性の病変だろうなぁということで、とりあえず循環器内科を受診したら?と勧めたことを覚えている。

本人曰く、ベースとなりそうな危険因子(糖尿や高血圧、脂質異常など)はないと言っており、あまり乗り気にならないようだった。

足の痛む場所が移動し痛みも増加

11月上旬(診断3週間前)

痛む部位が右足から左足に移動したという話を父から聞いた。

また、痛みも増し、持続的になっていたようだった。

いよいよ循環器内科を受診した方が良いと勧めたが、元来の病院嫌いに加え本人なりの考えがあるようで、通い慣れた整骨院に行っていた。

整骨院では、スジが何本か切れてると言われ、父は納得したようだった。

いや、そんなわけないでしょ、と父に諭すもこの時点では聞く耳を持ってもらえなかった。

後に判明するが、この足の痛みはがんを原因とする静脈血栓(いわゆるエコノミークラス症候群)によるものであり、整骨院は最悪の選択だった。

一般的に、血栓ができることを予防する上ではマッサージは有用だが、血栓ができてしまった後ではマッサージにより血栓が肺へ飛んで、突然死につながる可能性がある。

このすぐ後に病院での検査で肺塞栓も見つかっており、急変が起きなかったのは不幸中の幸いだったと言える。

この時点までは足が痛いというのが唯一の目立った症状であり、家族の誰しもが父ががんだとは考えていなかったわけだが、このわずか2日後に事態が急激に動き出す。

発覚までの経緯2に続きます。

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