Dr.Hiro's blog

胃がんの闘病記録から始まった、主にがんについてあれこれ綴っていくブログ。

【乳がん治療副作用シリーズ②】乳癌ホルモン療法による脱毛症(抜け毛・薄毛)の特徴及び対処法

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以前、乳がんに対するホルモン治療の副作用対策によく使われる漢方についてご紹介した。

 

www.survive-gastriccancer.com

 

 

今回は副作用対策シリーズ第二弾として、乳がんホルモン療法における脱毛症(抜け毛・薄毛)について取り上げたいと思う。

 

ホルモン療法による脱毛症

脱毛といった場合、抗がん剤治療がイメージしやすいかもしれないが、乳がんのホルモン療法でも脱毛は副作用として生じる。

 

意外に感じる方に多いかもしれないが、添付文書(インタビューフォーム)上にも5%未満に生じた副作用として明記されている。

 

同じ脱毛とはいえ、抗がん剤治療とホルモン療法とでは仕組みが異なり、正確に言えば、抜け毛や薄毛といった方がよりしっくりくるかもしれない。

 

抗がん剤治療の場合

がん細胞は分裂速度が早いという特徴を狙った治療であるため、同じく分裂の早い毛根の細胞(毛母細胞)もダメージを受ける。そのため脱毛が生じる訳だが、個人差はあるものの基本的には抗がん剤治療が終われば元に戻る。

 

乳がんの患者さんについては、抗がん剤が終わり5年経っても十分髪が生えそろわずウイッグを継続使用されている人が10%程度いるという調査結果がある。

 

ホルモン療法の場合

女性ホルモンであるエストロゲンを減らしたり働けなくする治療であるため、いわゆる更年期症状と同じ仕組みで生じ、エストロゲンが減ったことによる男性ホルモンの影響と考えられる。

 

上述した、乳がん患者さんでは抗がん剤終了後も髪が生えそろわない人が一定数いるという問題の一因として、抗がん剤後も継続して行われるホルモン療法の影響もあるかもしれない。

 

上述の調査ではホルモン療法の有無については言及していないので調査対象だった人がどのくらいホルモン療法を受けていたのかは不明だが、実際、ホルモン療法を継続している方で頭頂部などがなかなか生えそろわず悩んでいる乳がん患者さんをお見掛けする機会は少なからずある。

 

どのくらいの頻度で生じるか?

35個の臨床試験、延べ1万3415人の患者さんを対象にホルモン療法による脱毛症に関してについて解析した結果、

  • 脱毛症が生じた頻度は4.4%
  • タモキシフェンを使用していた人では25.4%

だったと報告されている*1

 

また、アロマターゼ阻害剤を使用していた236人の患者さんのうち、

  • 236人中8%の人が脱毛症を原因として治療を中止
  • 851人中34%の人が抗がん剤治療や年齢に関係なく脱毛や髪が細くなったことを経験

という報告もある。*2*3

 

脱毛症の程度・生じるまでの期間・影響

昨年報告された研究*4では、ホルモン療法を受けている104人の乳がん患者さんのうち

  • 97%の人で軽度の脱毛症が認められ、治療開始から平均16.8ヶ月で脱毛症が生じた
  • 58%の人は治療開始から12ヶ月以内に脱毛が生じた
  • 特に患者さんの感情面に負の影響を与え生活の質(QOL)に影響する

ということが示されている。

 

脱毛症の対策は?

上記の研究において

  • 生え際が後退するタイプや頭頂部が薄くなるタイプが多く、脱毛のパターンが男性型脱毛症(AGA)と類似
  • 局所へのミノキシジルの投与で80%の人で改善

ということが報告されている。

 

まとめ

乳がんホルモン療法の副作用として脱毛は治療開始後1年半以内に生じ得る。

対策としてはミノキシジルが有効である可能性がある。

 

文献

*1:Alopecia with endocrine therapies in patients with cancer. Oncologist. 2013;18(10):1126-1134.。

*2:Adjuvant aromatase inhibitor therapy in early breast cancer: what factors lead patients to discontinue treatment?  Tumori. 2015;101(5):469-473.

*3:Aromatase inhibitor therapy and hair loss among breast cancer survivors. Breast Cancer Res Treat. 2013;142(2):435-443.

*4:Endocrine Therapy-Induced Alopecia in Patients With Breast Cancer. JAMA Dermatol. 2018;154(6):670-675.