Dr.Hiro's blog

胃がんの闘病記録から始まった、主にがんについてあれこれ綴っていくブログ。

生酵素サプリについて酵素の観点から考える

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ちょっと前に生酵素やら熟成酵素やらといった酵素サプリや酵素ドリンクの宣伝をよく目にした気がするが、主にダイエット系の商品ジャンルとして今では定着しているのだろうか。

 

個人的には最近あまりそれらの単語を見かけないなぁと思っていたら、先日久方ぶりに"生酵素"という単語を見かけまして。

 

前から、”生酵素”って考え方自体はあながち間違ってないんだけど、商品説明を見ると中身が酷いというか悪意に満ちてるなぁと思っており、がんとは関係ないが今回ちょっと取り上げてみることにした。

 

 

 

 

まず結論

最初に結論から言ってしまえば、生酵素サプリだろうが熟成酵素サプリだろうが酵素ドリンクだろうが、”酵素”としては飲んでも意味はないし、効果もない。

 

そもそも酵素とは

酵素とは、一言で言ってしまえばタンパク質だ。

 

英語で言えば、プロテイン。

 

すなわち、ムキムキになりたい人が好んで飲むプロテインと同じ枠組みに入る。

 

酵素の機能

酵素の働きは、ある物質Aから別な物質Bへの変換を助けてあげること。

 

例えば、炭水化物に含まれるグルコースからエネルギーが合成されるのは、複数の酵素が順番に働くことでグルコースが違う物質へと連続的に変換されていくことで成立している。

 

このA→Bという変換は酵素なしでは自然にはほとんど起こらないため、酵素は不可能を可能にするお助けマンと言え、体の中でとても大事な役割を担っている。

 

 

酵素はカタチが大事

酵素が物質A→Bという変換を助けるためには、酵素とAがくっつく必要がある。

 

酵素は立体的な形をしており、酵素の一部分はちょうどAがぴたりとはまる形をしている。

 

例えるなら、酵素が鍵穴のある錠前であり、Aが鍵。

 

決まった鍵でなければ錠前が開かないように、酵素の形とピタリとはまるものでなければ酵素は物質変換のお助けマンとして機能できない。

 

すなわち、酵素が働くためにはその酵素が本来持つカタチを保っていなければならない。

 

酵素は熱に弱い

生卵を茹でると液状だった白身や黄身が固まるように、タンパク質は熱を加えると本来の形が保てなくなる。

 

これは酵素にとっても致命的であり、物質Aとくっつく部分の形が保てなければ酵素として働くことができなくなる。

 

インフルエンザなどで40℃近く高熱が出るととても辛いというのは想像に難くないかと思うが、ヒトの体内の酵素も同様であり45℃あたりから大なり小なり酵素の形は影響を受ける。

 

酵素の種類にもよるが。

 

いよいよ生酵素のお話

ネット検索していると熟成生酵素とかいう文言だったり、生酵素に発酵植物エキスを配合とかいう文言が並んでいる。

 

上述の通り、酵素は機能を持ったタンパク質であり、酵素を熟成させる意味は全くなく、熟成生酵素はその点ナンセンスの極みと言える。

 

そもそも熟成ってことは発酵させるということであり、酵素を発酵というのがちょっと理解できない。

 

おそらくサプリを販売している側は、生きてる乳酸菌や麹といった"微生物"的な感覚で酵素を"生酵素"と表現しているのかもしれない。

 

ただ、極力熱を加えず抽出した酵素、すなわち機能を保っている酵素を生酵素と表現しているのであれば、あながち大きな間違いではないと言える。

 

ということは、一部の生酵素サプリは効くんじゃないかと思う方もいるだろう。

 

そこで、ここから先は、極力低温で植物から抽出した生酵素を摂取する意味について考えたい。

 

摂取した生酵素は体内でどのような運命をたどるのか?

胃を中心とした消化器官で分解される

上でも書いたが、生酵素だろうが熟成酵素だろうが、酵素であるならばそれはタンパク質である。

 

口から摂取した酵素は通常の食事に含まれるタンパク質と同様に胃液や膵液などにより分解され、タンパク質の材料であるアミノ酸レベルまで分解され体内に吸収される

 

また、仮に完全に分解されなくとも、胃酸のような強酸性の液体に漬かることで酵素のカタチは崩れてしまう。

 

すなわち、体内に取り込まれた時点で酵素としての形状は保っていないことになる。

 

万が一体内にそのまま取り込まれても機能しない

いやいや、生酵素サプリの中には分解の件をある程度考慮して、ゼラチンカプセル入りのものもあるから無傷で取り込まれるものも一部はあるはず!とお考えの方もいらっしゃるかもしれない。

 

そこで百歩譲って生酵素が無傷で体内に取り込まれたと仮定する。

 

体内に外来酵素がやってきたとして問題になるのは、酵素が働くためにはその酵素に固有の条件があるという点である。

 

酵素の働きは、環境中の温度やpH、存在するイオンの種類や濃度など様々な条件の影響を受ける。

 

例えば、人体に存在する酵素は平熱である37℃で最も働くようにできており、4℃で使用するとほぼ機能しない。

 

本来、植物で働いている酵素が人体に取り込まれたとして、その酵素が期待通りに機能するかは甚だ疑問だ。

 

おわりに

以上から、生酵素というネーミングは期せずして一部的を得たものだと言えるかもしれないが、”酵素”としては商品の宣伝文句に書かれている効果はまず期待できないと言えるだろう。